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教室案内

教授あいさつ

時代の変化と歩み、未来を紡ぐ小児外科を目指して

教授 渡邊 美穂

Miho Watanabe

このたび、大阪大学大学院医学系研究科 小児成育外科学教室の第4代目教授を拝命いたしました渡邊美穂です。歴史ある教室で新たな一歩を踏み出すにあたり、ご挨拶申し上げます。
私はこれまで、国内外での研鑽を通じて、新生児外科・胎児外科・直腸肛門疾患・小児呼吸器・小児泌尿器など幅広い小児外科診療と研究に携わってきました。診療や研究を通して小児外科の大きな発展可能性を感じ、現在も胎児手術や胎児再生誘導治療に取り組んでいます。
大阪大学の小児成育外科は、1950年代の植田隆先生・岡本英三先生による先駆的治療を原点とし、1982年の講座開設以降、初代岡田正先生の小児外科栄養、2代目福澤正洋先生の小児がん・移植、3代目奥山宏臣先生の内視鏡手術など、歴代教授と医局員の努力により、“フルスペック小児外科”としての診療体制が築かれてきました。多領域を統合的に担うこの強みは、本教室の最大の財産です。
近年、小児外科を取り巻く環境は大きく変化しています。医療の高度化・多様化、少子化の進行、診療の集約化、働き方改革、大学病院の経営難など、多くの課題が重なり合ってます。しかし、これらの変化は単なる逆風ではなく、未来に向けて体制を見直し、より良い医療と教育を築くための大きな転換点でもあると捉えています。
大阪大学小児成育外科では、チーム医療を基盤とした安心して任せていただける質の高い医療を提供するとともに、臨床・研究・教育を三位一体で発展させることを目指しています。患者さんから得た気づきを研究につなげ、その成果を再び臨床に還元する循環をこれからも大切にしてまいります。
そして何より、「人を育てること」が未来を拓く鍵だと考えています。医療がどれほど高度化しても、患者さんと向き合うのは“人”です。次世代の小児外科医が個々の強みを活かし、長く成長し続けられるよう、柔軟で持続可能な教育環境を整えていきます。働き方改革の中でも、学ぶ機会と経験が有機的につながる仕組みを整え、個々の思いを尊重しながら、臨床の知識・技術、そして研究の継承を支える体制づくりを進めてまいります。
これまで教室が築いてきた包括的な診療力と研究力を土台に、医局員とともに小児成育医療の新たな価値を創造し、未来を切り開く教室へと発展させていきたいと考えております。今後とも温かいご指導とご支援を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。

より良い手術を目指そう!

名誉教授 奥山 宏臣

Hiroomi Okuyama

2014年7月から、当教室の運営に携わらせていただき、2025年3月に定年退職致しました。現在は大阪大学名誉教授として、引き続き小児外科の診療・研究・教育に関わっております。
私が教授として在職したこの10年余りは、”より良い手術を目指そう!”を教室の第一の目標としてきました。現在行われている手術を、私が大学を卒業した頃と比べれば、多くの疾患に対して全く新しいタイプの手術が行われています。2000年代に始まった内視鏡外科手術は鼠径ヘルニアや虫垂炎といった日常よく見る疾患だけでなく、鎖肛、ヒルシュスプルング病、胆道拡張症、食道閉鎖、横隔膜ヘルニアといった主要疾患にも適応が広まっています。また、肝臓移植は胆道閉鎖症に対する治療の選択肢として確立されています。さらに、最近では子宮開放による胎児手術やロボット手術も小児領域に導入されています。
このように先進的な“より良い手術“を目指すには、個々人の手術技術の向上に加えて、新しい機材・機器の積極的な導入が不可欠です。そして大前提として、何より安全性を優先して、患者さんの不利益にならないような配慮が必要です。世界中のネットワークを駆使して、最新情報情報を常にアップデートすることが必要です。一方で、その新しい手術が”より良い手術”であることを客観的に証明するには、臨床研究や基礎研究によるエビデンスの創出が求められます。
しかし先天的な臓器障害に対する機能的な疾患が多い小児外科で、手術の有用性を証明するためには、患者さんの成長に合わせたきめ細かい評価が必要です。疾患によっては、10年、20年と長期にわたるフォローが必要です。最近ではいくつかの疾患で登録制度が確立され、長期予後のデータが前向きに蓄積されつつあります。近い将来多くの優れたエビデンスの創出が期待できます。
このように、”より良い手術”を目指すには、こうした息の長い研究を次世代へと繋げていく必要があります。これがまさに未来へと繋がるダイナミックな”小児外科学”の核心です。これからも教室をあげて、より良い手術を目指していきたいと思います。

沿革

大阪大学小児外科教室は、1982年4月に岡田正を初代教授として発足しました。ただ第一外科の小児外科グループとしては、1950年代より植田隆と岡本英三らによってその活動が開始されていました。
植田は1953年にヒルシュスプルング病、1960年に食道閉鎖症の手術を本邦で初めて実施した我が国小児外科のパイオニアの一人であり、太平洋小児外科学会(PAPS)の創設メンバーでもあります。
岡本は植田とともに小児外科グループを立ち上げ、世界で初めてヒルシュスプルング病の病因論である”cranio-caudal migration thesis”を1967年のJournal of Pediatric Surgeryに発表しました。1973年には兵庫医科大学第一外科初代教授に就任しました。
こうした小児外科グループの活躍が基盤となり、1982年大阪大学に小児外科学講座が開設されました。初代教授の岡田正は1970年代初めより中心静脈栄養をいち早く日本に導入し、外科代謝栄養という新たな領域を確立しました。また、小児外科特有の鎖肛、胆道疾患、新生児外科といった領域にも取り組みました。2002年には2代目教授に福澤正洋が就任し、これまでの診療・研究領域に、小児がんや臓器移植の分野が加わり、小児外科の全領域をカバーする診療・研究体制が整いました。
福澤は、日本小児がん研究グループ(JCCG)創設にも尽力しました。2014年に3代目教授として奥山宏臣が就任して以降は、内視鏡下手術を中心とした低侵襲手術を多くの疾患に導入しました。さらに、阪大病院に胎児診断治療センターや腸管不全治療センターを開設して、多職種による先進的な医療を実践してきました。
このように当教室は、胎児から成人の患者さんを対象とした多彩な疾患・手術に取り組み、何より患者さんの元気な笑顔を励みに、日々臨床・研究・教育に取り組んでいます。

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