直腸肛門

直腸肛門奇形・鎖肛

直腸肛門奇形・鎖肛とは

直腸肛門奇形・鎖肛は、肛門が正しい位置にない、もしくは肛門が存在しない病気です。通常、生まれた直後や乳児期に診断されますが、近年では胎児診断されることも増えてきました。
治療としては、最終的に腸管と繋がっている瘻孔ろうこうを切除し、肛門を正常な位置に作り直す手術が必要です。

鎖肛の診断、病型、治療について

鎖肛は恥骨直腸筋と呼ばれる骨盤底筋を目印として、直腸盲端との位置関係によって低位型、中間位型、高位型に分類されています。(その他の分類方法もあります) 参考:小児外科学会

病型によって治療方針が大きく異なることが鎖肛の特徴で、見つかり次第速やかに病型診断を行います。レントゲン・超音波検査・造影検査などを行います。 胎児診断の場合は、母体の超音波検査やMRIを行うこともあります。

低位鎖肛
直腸盲端が肛門皮膚近くまで達しているタイプで、生後早い段階で根治手術(肛門を作る手術)を行うことが多いです。
中間位鎖肛
低位と高位の中間の位置に盲端があります。通常、新生児期に人工肛門を造設し、成長を待ったうえで根治手術を行います。
高位鎖肛
腸管の盲端が皮膚から離れた腹腔内にある型をタイプです。尿道に腸管が繋がっている場合もあり、その場合は尿に便が混ざることがあります。新生児期に人工肛門を造設し、成長を待ったうえで根治手術を行います。

手術方法も病型によって異なります。肛門側からの手術、背中側からの手術、腹腔内(お腹側)と肛門側から同時に行う手術、などがあります。当科では、腹腔内からの手術の場合は、積極的に腹腔鏡下手術を取り入れています。腹腔鏡下手術は体への負担が少なく、回復が早いというメリットがあります。

術後の管理

鎖肛の術後は、長期的に排便管理が必要です。排便の感覚や機能は直腸肛門奇形の種類によって異なるため、個々の患者さんの状況と成長に合わせた治療やサポートが大切です。管理の目標は、便秘と便失禁を防ぎ、排便の自立を促すことです。そのため、当科では専門看護師を含む医療スタッフと連携したきめ細やかなサポートを提供しています。

総排泄腔遺残症

総排泄腔遺残症とは

総排泄腔遺残症とは、直腸肛門奇形の女児に特有の病型で、尿路、膣、直腸が1つの管(総排泄腔)に合流し、共通管という瘻孔が皮膚表面に開口している状態です。本来、これらの構造は分離して尿路、膣、直腸がそれぞれ開口しますが、総排泄腔遺残症ではこの分離過程が正常に進まないことで発生します。
患者さんの状態に応じて治療計画を立てることが大切です。

治療について

生後すぐに、人工肛門を造設します。排尿のためのチューブ管理などが必要となることもあります。
成長を待って、尿路、膣、直腸を分離して再建する根治手術を行います。患者さんの状態に応じて、肛門側からの手術、腹腔内(お腹側)と肛門側から同時に行う手術、などがあります。

術後の管理

術後は、長期的な排尿・排便管理と膣の機能維持を行います。専門看護師を含む医療スタッフと連携し、自立に向けて成長に応じたきめ細やかなサポートを提供しています。

総排泄腔外反症

総排泄腔外反症とは

総排泄腔外反症とは、臍帯ヘルニアの重症な1タイプで、腸・膀胱・生殖器が正常に体内に収まらず、体の外に露出してしまう非常にまれな疾患です。近年では胎児診断がなされることが多いです。
腸管の一部が体の外に出ており肛門がないこと(鎖肛)、膀胱が分かれており体外に開いていること(膀胱外反)、臍帯から腹腔内臓器が脱出していること(臍帯ヘルニア)が特徴的で、性器の異常や骨盤の骨の異常を合併します。また、しばしば脊髄髄膜瘤(二分脊椎)と呼ばれる脊椎・脊髄神経の先天奇形を合併します。

治療について

これらの複雑な異常を段階的に治すために、新生児期から複数回の手術が必要になります。対象となる臓器が多岐にわたるため、新生児科・小児科・泌尿器科・脳外科・整形外科などの他診療科と緊密に連携し一緒に手術を行います。
術後も長期的なフォローアップが大切です。当科および二分脊椎多職種外来では、専門看護師を含む医療スタッフが連携し、患者さんご自身が病気の理解を深め、将来自立していけるよう、患者さんやご家族に対してきめ細やかなサポートを提供しています。

大阪大学医学部附属病院二分脊椎多職種外来

便秘症

小児でも便秘で困っている患者さんが多くいらっしゃいます。
その中で、ヒルシュスプルング病とその類縁疾患、二分脊椎に伴う便秘など、器質的な病気により便秘になっている方はその病気を適切に診断し、病状に合わせた検査・治療が必要です。
また、鎖肛やヒルシュスプルング病術後の長期経過の中で排便コントロールに困る場合もあり、当科ではそれら患者さんの治療にもあたっています。
器質的な疾患がなく体質として便秘で困っている場合は、それぞれの患者さんの成長や生活に合わせた内服薬や浣腸などの調整、生活指導を行います。重症例では下剤や便を摘出する処置を併用し、排便状態をリセットすることが必要な場合もあります。必要があれば学校の先生などとも連携し、患者さんやご家族をサポートします。

痔瘻・肛門周囲膿瘍

痔瘻・肛門周囲膿瘍とは

肛門のまわりに膿(うみ)がたまり、赤く腫れる疾患です。膿が自壊し、排膿されることもあります。生後1か月前後から1歳くらいの乳児期の男の赤ちゃんに比較的よく見られる病気です(女児はまれです)。おむつかぶれがひどくなった場合などに起こります。
小児の場合はクローン病など別の病気の1症状として起こっている可能性があります。その場合は小児科と協力して内視鏡検査や、治療を行います。

診断・治療について

基本的に抗生剤の飲み薬は使用せず、膿が溜まっていると判断されると切開排膿を行います。また最近では漢方薬(排膿散及湯はいのうさんきゅうとうや十全大補湯)による治療で肛門周囲膿瘍が良くなることがわかってきており、症状に応じて切開排膿の前に漢方治療を開始することもあります。

排泄ケア・二分脊椎外来

排泄ケア・二分脊椎外来では、排便コントロールに困っている患者さんを診療しています。小児から成人まで幅広い患者さんを受け入れています。また、二分脊椎の患者さんは、排尿機能障害や脊髄障害を合併していることあり、脳神経外科、泌尿器科、専門看護師など多職種と連携して検査や治療をすすめています。

大阪大学胎児診断治療センター
大阪大学医学部附属病院二分脊椎多職種外来

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