消化器

肥厚性幽門狭窄症

肥厚性幽門ゆうもん狭窄症とは

幽門とは胃の出口のことで、この筋肉(幽門筋)が厚くなり胃の内容物が十二指腸へ流れなくなります。「噴水状嘔吐」が特徴で、これは幽門が狭くなることによって胃内に大量の母乳やミルクが貯まり、勢いよく口から吐き戻す状態を指します。

診断・治療について

超音波検査で厚くなった幽門を確認します。治療方法には手術による外科的治療と、アトロピン療法という内科的治療があり、基本的に外科的治療を行う場合が多いです。外科的治療(手術)は臍または上腹部からおなかを開け、幽門筋を切開して胃の出口をひろげます。手術をした翌日から母乳やミルクを再開できます。内科的治療は、幽門をひろげる効果のあるアトロピンを使用しますが、頻脈(動悸)などの副作用や、手術を選択した場合より治療期間が長くなる可能性があります。内科的治療の効果が出ない場合は手術を行います。

虫垂炎

虫垂炎とは

虫垂とは、大腸の一部である盲腸に付着している細長い腸管で、これが炎症を起こすのが「虫垂炎」です。小児にだけでなく、成人・高齢者まで、幅広い年齢層でみられる頻度の高い病気の一つです。よく「盲腸の手術をしました」と聞きますが、これは「虫垂を切除した」という意味です。一般的には右下腹部の痛みがみられますが、炎症が進行すると痛みが強くなり、その範囲は腹部全体に及ぶこともあります。小児では症状を伝えることが難しく、診断が困難な場合もあります。

診断・治療について

超音波検査やCT検査で診断します。軽症のものでは保存的治療、つまり手術をせずに数日間抗生物質を投与します(いわゆる「薬で散らす」という方法です)。炎症が強いものや、保存的治療が有効でない場合は手術が行われます。手術は腹腔鏡下手術を行っており、臍を縦に切開し、腹腔鏡と鉗子を入れて手術を行います。状況により下腹部に小さく切開を追加して鉗子を入れる場合もあります。

腸重積

腸重積とは

口側の腸管(主に小腸)が肛門側の腸管(主に結腸)にはまりこむことにより、腸が閉塞する疾患です。原因は特発性(原因がわからないもの)が多いとされておりますが、かぜや下痢症状が先行することが多く、腸管内のリンパ節が腫れ、同部位が先進部(起点)となって腸管がはまりこんでしまうと考えられています。反復する腹痛や嘔吐、いちごゼリー状の血便がみられると腸重積が疑われます。
2歳未満の乳幼児に多い疾患ですが、3歳以上の年長児でもみられるケースがあります。こういったケースでは先の原因ではなく、ポリープやリンパ腫などの器質的疾患が原因となっている場合があり、さらに検査が必要となることがあります。

診断・治療について

超音波検査が有用であり、診断がつき次第まずは造影剤を用いた整復術(高圧浣腸)を行います。高圧浣腸で整復できなかった場合や、腸重積の発症から時間が経過している場合(24時間以上)は手術を行います。はまりこんだ腸管を腹腔鏡で確認しながら鉗子で整復を試みますが、腸管の状態に応じて部分的に切除する必要がある場合もあります。

こどもの消化管出血(吐血・下血)

こどもの消化管出血について

嘔吐に血が混じること(吐血)や、便に血が混じったり、赤い・黒い色に変色したり(血便)することは小児でもよく見られます。原因となる疾患は非常に幅広いため、症状、経過、年齢を加味しながら原因を絞り込んでいくことが大切です。また、原因疾患の中には急激に悪化するため、緊急で対応する必要のある疾患も含まれます。

こどもの吐血が見られる代表的な疾患として、新生児ビタミンK欠乏症、血友病、胃食道静脈瘤、消化管異物、好酸球性胃腸炎、腫瘍性病変、逆流性食道炎、急性胃炎、胃十二指腸潰瘍、消化管重複症等が挙げられます。

こどもの下血が見られる代表的な疾患として、リンパ濾胞増殖症、消化管アレルギー、Hirschsprung病、腸重積症、潰瘍性大腸炎、Crohn病、メッケル憩室、腸回転異常症(中腸軸捻転)、痔核、直腸潰瘍、虚血性腸炎、非特異性多発性小腸潰瘍症、腫瘍性病変等が挙げられます。

診断・治療について

出血が多い場合には、出血に対する全身治療を優先します。全身状態が安定している場合には、採血や画像検査(超音波検査、胸腹部CT検査)で貧血、感染、臓器障害の有無を詳しく調べます。

緊急対応が必要な疾患が疑われる場合には、それぞれの原因疾患に準じた治療を実施します。腸回転異常症など、緊急で開腹手術が必要な疾患もあるため、体制の整った専門医療機関での治療が望ましいです。

当科では小児科、消化器内科と連携し、鎮静および全身麻酔下に消化管内視鏡検査および内視鏡下止血術を実施できる体制を整えています。診断を行うと同時に、止血が続いている場合には内視鏡下に止血を行うことも可能です。こどもの消化管内視鏡検査について、当科までお気軽にご相談ください。

ヒルシュスプルング病(Hirschsprung)

ヒルシュスプルング病とは

ヒルシュスプルング病とは、腸の蠕動運動(ぜんどううんどう)を司る神経細胞(腸管神経節細胞)が、欠如している先天性疾患です。この神経細胞が欠如している腸管を無神経節腸管といい、この部分は腸が正常に動かず、便をうまく肛門へ送ることができなくなります。その結果、便秘や腹部膨満、嘔吐をきたしますが、無神経節腸管の長さにより症状は軽症〜重症までさまざまです。
一部の症例ではRET遺伝子という遺伝子変異が原因となることが分かっています。

診断・治療について

診断のために直腸肛門内圧検査(腸管が正常に動かないので圧が変動しない)や、消化管造影検査を行います。直腸生検や手術での腸管の生検を行い、神経節細胞が無いと確認されると確定診断となります。
無神経節腸管が長い場合は、腸が正常に動かない範囲が長いため腸管のうっ滞をきたしやすく、新生児期から重症となることがあります。そのような患者さんでは人工肛門を造設し、根治手術ができる体格になるまでしっかり成長できる排便管理を整えます。無神経節腸管が短い場合は、浣腸や洗腸を行い、排便のサポートを行います。
根治手術は、無神経節腸管を切除し正常な腸管を肛門と吻合することです。手術方法は、肛門側からだけで行う場合や、腹腔鏡を併用する場合があります。
根治手術後も、便秘や便失禁をきたすことがあり、浣腸や内服などで排便コントロールが必要です。当科では専門看護師を含む医療スタッフと連携したきめ細やかなサポートを提供しています。

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