腸管不全

腸管不全と小児外科の役割

腸管不全とは、さまざまな原因疾患により腸管から吸収される栄養が不十分で、生命の維持や成長発育に影響を及ぼす状態をいいます。
経口摂取からだけでは不十分な場合、栄養状態を正常に保つために、静脈から生命維持に必要な栄養素を投与します。これを完全静脈栄養:TPN(Total Parenteral Nutrition)と呼びます。
当科では、患者さんの成長や、生活状況に合わせてTPNの内容を調整しています。それにより、在宅での中心静脈栄養(HPN:Home Parenteral Nutrition)が可能となり、患者さんは入院生活から開放され、家庭・社会復帰、就学・就職を目指すことができます。

大阪大学小児成育外科は我が国に初めてTPNを導入し、小児から成人までひろくHPNの患者さんをサポートしてきました。 また、栄養サポートチーム:NST(Nutritional Support Team)を早くから導入しており、医師のみならず、看護師、栄養士、薬剤師とチームを形成して栄養のサポートを行います。特に小児患者さんでは、小児科の栄養発育研究グループとタイアップし、成長や発達のサポート、就学支援なども行っています。
これらの実績を踏まえ、2020年大阪大学医学部附属病院に腸管不全治療センターが開設されました。腸管不全治療センターでは、小児外科、小児科、消化器内科、消化器外科、看護師、管理栄養士、薬剤師など、多職種が連携して治療を進めています。小児から成人まで、腸管不全で治療に難渋している患者さんを全国から受け入れています。

小腸移植も行っています。

腸管不全の分類、
腸管不全となる原因疾患

短腸症候群 (Short Bowel Syndrome)

大量の腸管切除や、先天的な素因により、栄養の消化吸収を行う腸管の長さが極めて短い状態をいいます。腸管が短いため、腸管から必要な水分や栄養が十分に吸収できません。以下のような疾患が原因となります。

  • 腸回転異常に伴う中腸軸捻転
  • 先天性腸閉鎖症
  • 壊死性腸炎 (NEC: Necrotizing Enterocolitis)
  • 腹壁破裂
  • Crohn病の術後

腸管運動機能障害

腸管の長さは維持されていても、腸管の運動能や消化吸収能が低下している状態で、以下のような疾患が含まれます。

  • 広範囲型ヒルシュスプルング病
  • ヒルシュスプルング病類縁疾患

その他

  • クローン病や潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患
  • 全身疾患に伴う腸管不全(吸収不良症候群、腸管リンパ管拡張症、蛋白漏出性胃腸症、その他)

ページトップへ戻る