小児泌尿器

主な対象疾患

主な生殖器系疾患

停留精巣・移動性精巣

停留精巣とは

停留精巣は精巣が陰嚢内に降りておらず、下腹部やお腹の中に精巣がある状態です。陰嚢は体温より温度が低く、精巣の発育に適した環境であると言われています。生後2-3カ月頃を越えると精巣が自然に下降することはなく、精巣を陰嚢内に降ろしてあげるには手術以外に方法がありません。できるだけ早く精巣をよい環境に戻してあげるため、生後6-24カ月頃の手術をおすすめしています。停留精巣は悪性化のリスクがあると言われていますが、手術により精巣を陰嚢内に降ろすことで早期発見しやすくなる利点があります。

移動性精巣とは

移動性精巣は停留精巣を間違われることが多いですが、精巣の固定が不十分なために陰嚢内に精巣がないことが多い状態です。移動性精巣の状態では手術は必要ありませんが、挙上精巣と呼ばれる精巣がさらに挙上する場合には手術が必要となるため、専門医による診察が大切です。

治療について

手術は鼠径部および陰嚢の傷で行います。精巣が高い位置にある場合、腹腔鏡を用いた低侵襲手術(傷の小さい手術)を行うことがあります。精巣がおなかの中にあり1回の手術では降りそうにない場合には、2回に分けた手術が必要になることもあります。

陰嚢水腫

陰嚢水腫とは

精巣の周りに水(腹水)がたまり、陰嚢が腫れて見える状態です。自然消失する場合も多いので最初は経過観察を行いますが、2ー3年経過しても消失しない場合や、かなり大きい場合には手術をお勧めします。

治療について

手術は腹腔鏡を用いた低侵襲手術(傷の小さい手術:LPEC法)を第一選択とし、水のたまりの原因となる穴(ヘルニア門)を閉じて、お腹と精巣の周りの交通を断つ手術を行います。日帰り手術が可能です。

急性陰嚢症(精巣捻転)

急性陰嚢症とは

急性陰嚢症は陰嚢の突然の痛み、発赤、腫れなどの症状を示し、緊急の診断と治療が必要な状態です。主な原因として、精巣捻転、精巣上体炎、精巣炎などがありますが、中でも最も重要で緊急性が高いのが精巣捻転です。
精巣捻転とは、精巣に繋がっている精索(精巣につながる血管や精管を含む管)が突然捻れることで、精巣への血流が途絶えてしまう病態です。この状態が長時間続くと、精巣が壊死(腐ってしまう)してしまうため、早急に捻れを戻してあげる必要があります。

診断・治療について

診断は診察と超音波検査で行います。手術で直接確認することが必要な場合もあります。
発症から6時間以内の緊急手術が必要です。手術では、陰嚢の小さい傷から精巣を取り出し、精索の捩れを戻します。完全に壊死している場合には、残念ですが精巣を摘出します。発症から手術までの時間が短いほど、精巣を温存できる可能性が高いです。反対側の精巣固定も同時に行い、将来的な精巣の捻転の予防を行います。

腎盂尿管移行部狭窄症
(先天性水腎症)

腎盂尿管移行部狭窄症とは

腎臓と尿管のつなぎ目(腎盂尿管移行部)が何らかの理由で狭くなり、腎盂に水が貯まる水腎症とよばれる状態です。症状が軽いものでは自然に改善することもありますが、狭窄が強く水の貯まりが大きくなると、腎臓の機能に影響を及ぼします。そのため、狭い部分を切除し、つなぎ直す手術が必要です。手術を行うことで、腎機能を守ること、尿路感染症を予防すること、水腎症による症状(血尿、疼痛など)を予防することが期待できます。

診断・治療について

手術は後腹膜アプローチ、腹腔鏡下手術、ロボット支援下手術があり、患者さんの病態や体格に合わせて、担当医が決定します。手術後は、吻合部のむくみと縫合不全を予防するために、腎臓と膀胱の間に尿管ステントチューブと呼ばれる管を1か月程度留置します。

膀胱尿管逆流症

膀胱尿管逆流症とは

本来、尿は腎臓から膀胱の一方向に流れ、膀胱から腎臓へは向かうことはありません。それは尿管と膀胱のつなぎ目(接合部)に逆流を防止する構造があるためです。膀胱尿管逆流症では、この構造が弱い(一次性)、または膀胱・尿道に異常がある(二次性)ために、膀胱から腎臓への尿の逆流が生じます。膀胱尿管逆流があると尿路感染症を起こしやすく、尿路感染症を繰り返すと腎機能障害を起こす可能性があります。
逆流が軽度の場合は自然に治ることもありますが、逆流の程度が高度な場合には自然消失はあまり期待できません。抗菌薬の予防投与で尿路感染症を予防しますが、尿路感染症を繰り返したり、腎機能障害の徴候がみられたりする場合、手術が必要です。

診断・治療について

手術は膀胱内手術、気膀胱内視鏡下手術、内視鏡的注入療法があり、患者さんの病態や体格に合わせて、担当医が決定します。

神経因性膀胱・二分脊椎外来

神経因性膀胱とは

神経因性膀胱とは、膀胱を支配している神経が障害されて、尿がためられなくなったり、尿が出せなくなったりする病気です。その原因として多い病気の一つが二分脊椎(脊髄髄膜瘤・脊髄脂肪腫)です。膀胱の壁が固くなると腎機能に悪影響を及ぼし、尿路感染も増えます。尿漏れも問題となります。

診断・治療について

診断には超音波検査、膀胱造影検査、膀胱内圧検査を行い、総合的に判断します。
排尿管理の目標は、長期的に腎機能を守り、患者さんの生活の質を保つことです。膀胱の緊張をとる薬や、定期的に尿を出す処置を行います。必要であれば手術で尿を出しやすくすることも行います。また、神経因性膀胱の患者さんは直腸障害も伴っていることが多く、排便管理も重要になります。

二分脊椎外来について

二分脊椎外来では、上記の患者さんに対して、出生前から成人期に至るまで、多診療科および多職種による専門チームメンバーが連携した診療体制で、患者さんを診療・支援する取り組みを行っています。

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