腫瘍・脈管奇形

腫瘍・脈管奇形

  • こどもの悪性腫瘍は、医学の進歩と共に治る見込みが向上してきました。しかし治療には高度な医療が必要であることは変わりなく、抗がん剤、放射線治療、手術を組み合わせた治療(集学的治療)を適切な診断に基づいて速やかに行うことが大変重要です。小児科(血液・腫瘍グループ)や放射線科等の関連科と連携して、腫瘍に対する集学的治療を行っています。腫瘍カンファレンスを定期的に行い、治療方針を協議しています。
  • 原発巣摘出・転移巣摘出において、腫瘍に対する局所治療の一端を担っています。腫瘍生検や、化学療法のための中心静脈カテーテル留置なども当科で行います。
  • 大学病院の強みを活かして、小児科・成人診療科と協力して、肝芽腫に対する肝移植治療・膵腫瘍に対する治療などの高度な小児がん治療を行えます。また、本邦および海外との共同研究により、最先端の治療法を常に模索し続けております。
  • 脈管奇形などの難治性疾患に対して、多職種多診療科連携でのチーム医療を展開しています。
  • 体表のできもの(皮下腫瘤:粉瘤・脂肪腫など)や良性腫瘍に対しての診療も行います。

神経芽腫

神経芽腫とは

副腎や交感神経節に分化する細胞に由来する腫瘍です。腹部のみならず、頭頚部や胸部(縦隔)などにも生じることがあります。画像検査や尿検査・血液検査などを用いて診断を行います。

治療について

他の臓器への巻き込みのない限局性の腫瘍の場合には、手術による腫瘍摘出を行います。近年腹腔鏡下手術の導入も進んでいます。一方、他の臓器への巻き込みがある例・転移がある例では、腫瘍生検(腫瘍の一部を採取して、病理診断を行うこと)を行って診断をつけ、化学療法などを優先します。治療後の残った腫瘍に対する腫瘍摘出術も当科で担っています。

腎腫瘍

腎腫瘍とは

腎臓由来の腫瘍であり、小児の腎腫瘍の中で代表的のものが、腎芽腫です。腹部膨満が生じることで気づかれることが多いですが、稀に血尿で気づかれることもあります。他の腫瘍と同様に、血液検査や画像検査などを行って、診断します。腎芽腫以外に、腎ラブドイド腫瘍、腎明細胞肉腫、先天性間葉芽腎腫、腎細胞癌などがあります。

治療について

転移がなく、限局している腫瘍の場合には、腎腫瘍摘出術(腎臓ごと腫瘍を摘出する)を行います。両側例、腫瘍が破れている例、転移が確認された例では、術前化学療法を行うこともあります。腫瘍の病理診断(顕微鏡での診断)を行い、診断に合わせて術後の化学療法などを行います。

肝腫瘍

肝腫瘍とは

小児の肝臓に生じる腫瘍です。その中でも肝芽腫がよく知られています。
肝芽腫以外に、血管肉腫、未分化肉腫、肝細胞癌、横紋筋肉腫などがあります。

治療について

遠隔転移の有無や肝腫瘍の大きさや部位などで治療方針を決定していきます。術前・術後の化学療法と組み合わせて、肝腫瘍摘出術(系統的肝切除術)を当科で行っています。
肺転移例では、胸腔鏡下肺部分切除術も導入しています。腫瘍のサイズや種類によっては、ICGと呼ばれる色素を用いながら、腫瘍の位置を特定しています。
肝腫瘍に対する移植医療も行っています。肺転移のある肝芽腫に対しても、肺腫瘍摘出および化学療法を行った上で、生体肝移植により長期生存に至っている例があります。

胚細胞腫瘍

胚細胞腫瘍とは

原始胚細胞を由来とした腫瘍です。その内訳も非常に多様で、代表的なものに成熟奇形腫・未熟奇形腫・卵黄嚢腫瘍などがあります。全身様々な部位で生じる可能性がある腫瘍です(精巣・卵巣・仙尾部・後腹膜・縦隔など)。腫瘍マーカーであるAFPおよびβ-hCGが診断の一助になることがあります。

治療について

発症部位や進行度(転移の有無などを含む)等を総合的に評価して、治療方法を決定します。
当科では、腫瘍摘出術や腫瘍生検などで治療の一端を担っています。

脈管奇形

脈管奇形とは

血管・リンパ管の発生異常により生じる病態です。血管奇形・リンパ管奇形・乳児血管腫などが含まれます。

治療について

OUVAC(Osaka University Vascular Anomaly Conference)と呼ばれる多職種連携チームで診療をサポートしており、放射線科(IVRチーム)、形成外科、小児科、整形外科、病理診断科などと協力しながら集学的治療を行っています。
乳児血管腫は、血管が固まりできものとなったもので、生後数週でみられます。2歳頃まで大きくなることがありますが、その後数年かけて小さくなっていきます。治療は、経過観察、飲み薬による治療、手術、レーザー照射などがあり、お子さんの病状に応じて選択します。
リンパ管奇形に対して、ピシバニールやブレオマイシン等を用いた硬化療法を行うことが多いですが、越婢加朮湯(えっぴかじゅつとう)と呼ばれる漢方薬も治療として知られています。
難治性脈管奇形に対してのシロリムスを用いた治療も行っています。

対象疾患一覧

対象疾患

神経芽腫
肝腫瘍
肝芽腫、肝間葉性過誤腫、未分化肉腫、海綿状血管腫、乳児肝血管内皮腫、血管筋脂肪腫、限局性結節性過形成(FNH)など
腎腫瘍
腎芽腫、腎明細胞肉腫、ラブドイド腫瘍(RTK)、先天性間葉芽腎腫(CMN)、腎細胞癌など
膵腫瘍
膵芽腫、膵腺房細胞癌、インスリノーマ、充実性偽乳頭状腫瘍(SPN)、膵癌など
胚細胞腫瘍
(奇形腫など)
頸部・縦隔・後腹膜など様々な場所に生じる。
脈管奇形
乳児血管腫、先天性血管腫、血管肉腫、血管奇形(毛細血管奇形・静脈奇形・動静脈奇形)・クリッペルトレノネー症候群等、リンパ管奇形など
その他
褐色細胞腫、胸膜胚芽腫、悪性リンパ腫(腸間膜腫瘍を含む)、デスモイド腫瘍、横紋筋肉腫、神経線維腫症(NF1)、脂肪芽腫、大腸癌、消化管ポリープ(若年性ポリポーシス症候群・Peutz-Jeghers症候群)、皮下腫瘤(粉瘤・脂肪腫・石灰化上皮腫)など

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